2025年6月より、懲役・禁錮刑が「拘禁刑」に統一されました。
薬物犯罪で覚醒剤・大麻・コカイン・LSD・MDMAなどにより逮捕された場合、初犯であっても起訴される可能性が高く、実刑を避けるためには早急な弁護活動が必要です。
執行猶予付き判決を目指せるかどうか、不起訴の可能性があるかどうかは、逮捕直後からの対応次第で大きく変わります。
また、薬物事件では逮捕後すぐに「接見禁止」が付くケースも多く、ご家族であっても面会できない状況が続くことがあります。
この記事では、薬物の種類ごとの刑罰・逮捕の割合、初犯と再犯による処分の違い、逮捕後の流れなどを詳しく解説します。
薬物で逮捕された方のご家族様へ
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目次
薬物(麻薬・ヘロイン等)の刑罰と逮捕の割合
薬物の使用、所持、譲渡・譲受、輸出入などは、麻薬取締法に違反する罪で、逮捕される可能性があります。
ただし、麻薬取締法では、ヘロインか、ヘロイン以外の麻薬(大麻・コカイン・LSD・MDMA等)かによって、禁止される行為と刑罰が異なります。
ヘロインの刑罰
ヘロインは、植物のケシからモルヒネを抽出して加工した薬物であり、麻薬及び向精神薬取締法で規制される薬物の中でも依存度が強い特徴があります。
麻薬取締法違反(ヘロイン系)の刑罰
| 態様 | 刑罰 |
|---|---|
| 使用・製剤・小分け・譲渡・譲受・交付・所持 | ・拘禁刑(1ヶ月~10年) |
| 使用・製剤・小分け・譲渡・譲受・交付・所持 (営利目的) | ・拘禁刑(1年~20年) または ・拘禁刑(1年~20年)+ 罰金500万円以下 |
| 輸入・輸出・製造 | ・拘禁刑(1年~20年) |
| 輸入・輸出・製造 (営利目的) | ・拘禁刑(無期 or 3年~20年) または ・拘禁刑(無期 or 3年~20年)+ 罰金1000万円以下 |
(表の解説を読む)
ヘロインの法定刑は、ヘロイン以外の麻薬よりも重く設定されており、譲渡・譲受・所持などの法定刑は「10年以下の拘禁刑」です。輸出入・製造などに対する法定刑は「1年以上20年以下の有期拘禁刑」となります。
営利目的の場合、拘禁刑の刑期は長くなり、さらに罰金刑も追加される可能性があります。
また、未遂罪の処罰もあります。
ヘロイン以外の麻薬(大麻・コカイン・LSD・MDMA等)の刑罰
ヘロイン以外の麻薬には、大麻、コカイン、LSD、MDMA等が含まれます。
ヘロイン以外の麻薬の刑罰
| 態様 | 刑罰 |
|---|---|
| 使用・製剤・小分け・譲渡・譲受・所持 | ・拘禁刑(1ヶ月~7年) |
| 使用・製剤・小分け・譲渡・譲受・所持 (営利目的) | ・拘禁刑(1年~10年) または ・拘禁刑(1年~10年)+ 罰金300万円以下 |
| 輸入・輸出・製造・栽培* | ・拘禁刑(1年~10年) |
| 輸入・輸出・製造・栽培* (営利目的) | ・拘禁刑(1年~20年) または ・拘禁刑(1年~20年)+ 罰金500万円以下 |
* 麻薬取締法違反になる栽培とは、麻薬原料植物の栽培。大麻草の栽培については、大麻草の栽培の規制に関する法律で禁止されている。麻薬原料植物・大麻草ともに、栽培についての刑罰は同じ。
(表の解説をよむ)
ヘロイン以外の麻薬を使用・譲渡・所持等した場合、刑罰は「1ヶ月以上7年以下の拘禁刑」です。営利目的の場合は「1ヶ月以上10年以下の拘禁刑」のほか、情状によって「300万円以下の罰金」が追加されます。
ヘロイン以外の麻薬の輸出入・栽培等の刑罰は、「1ヶ月以上10年以下の拘禁刑」です。営利目的の場合、刑罰は「1ヶ月以上20年以下の拘禁刑」となり、情状によって「500万円以下の罰金」が追加されます。
未遂罪の処罰規定もあります。
麻薬取締法違反で逮捕された割合
検察統計では、2024年、麻薬取締法違反で逮捕された割合は約59.8%でした。
2024年 麻薬取締法違反の逮捕*¹
| 人数 | 割合 | |
|---|---|---|
| 逮捕されたもの | 1,557人 | 59.8% |
| 逮捕されないもの*² | 1,045人 | 40.2% |
| 総数 | 2,602人 |
*¹ 2024年検察統計「罪名別 既済となった事件の被疑者の逮捕及び逮捕後の措置別人員」より抜粋の上、編集しました。また、麻薬取締法違反は、麻薬及び向精神薬を取り締まる法律であるため、数値には向精神薬についての犯罪で逮捕された人も含まれます。
*² 逮捕されたものには、警察から身柄送致されたもののほか、警察で身柄釈放されたもの、検察庁で逮捕されたものが含まれます。
Q.アトムの解決事例(麻薬)が知りたい
麻薬・逮捕あり(不起訴処分)
職務質問を受けた際、車の中から麻薬が見つかったとされたケース。依頼者は以前ハーブ店を経営しており処分し忘れていた薬物が偶然見つかっただけとして故意を否認。麻向法違反の事案。
弁護活動の成果
否認事件に際しての取り調べに対するアドバイスなどを行いサポートした結果、不起訴処分を獲得。
逮捕の有無
あり
最終処分
不起訴
麻薬・逮捕あり(執行猶予判決)
職務質問を受けた際、自家用車の中からコカインが見つかり現行犯逮捕され、コカインの使用も発覚したケース。麻向法違反の事案。
弁護活動の成果
保釈が認容され早期釈放が叶った。裁判の場で情状弁護を尽くした他、検察官の提示する証拠に意見する等した。結果、執行猶予付き判決を獲得した。
逮捕の有無
あり
最終処分
懲役1年6か月,執行猶予3年
Q.コカインとは?
コカインはコカの葉から作られた強力な中毒性を持つ精神刺激薬であり、覚醒剤と似たような効果をもたらすのが特徴です。
コカインも「ヘロイン以外の麻薬」に該当します。
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Q.LSDとは?
LSDはライ麦の麦角菌から作る薬物で、幻覚作用が強い合成麻薬です。水溶液をしみこませた紙片、錠剤、カプセルなどの形状で流通しており、経口で、または飲み物とともに飲むなどして乱用されています。
LSDも「ヘロイン以外の麻薬」に該当します。
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Q.MDMAとは?
MDMAは「メチレンジオキシメタンフェタミン」の略名で、「エクスタシー」と呼ばれることもあります。もともとは白色結晶性の粉末ですが、カラフルな錠剤に加工されることの多い合成麻薬の一種です。
MDMAも法律上「ヘロイン以外の麻薬」に該当します。
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大麻・向精神薬・覚醒剤・危険ドラッグ等の刑罰と逮捕の割合
大麻の逮捕
大麻は従来、大麻取締法で規制されてきました。しかし、法改正により、2024年12月12日以降、大麻はヘロイン以外の「麻薬」に位置付けられます。
そのため、大麻の不正な使用・所持・譲渡・輸出入等は麻薬及び向精神薬取締法(以下「麻薬取締法」といいます。)に違反する罪で、逮捕される可能性があります。
また、大麻の栽培については、大麻草の栽培の規制に関する法律(旧大麻取締法)に違反する罪で、逮捕される可能性があります。

大麻事件で逮捕された割合
検察統計では、2024年、大麻取締法違反で逮捕された割合は約50.7%でした。
2024年 大麻取締法違反の逮捕の割合
| 人数 | 割合 | |
|---|---|---|
| 逮捕されたもの | 4,626人 | 50.7% |
| 逮捕されないもの | 4,496人 | 49.3% |
| 総数 | 9,122人 |
* 2024年検察統計「罪名別 既済となった事件の被疑者の逮捕及び逮捕後の措置別人員」より抜粋の上、編集しました。
* 逮捕されたものには、警察から身柄送致されたもののほか、警察で身柄釈放されたもの、検察庁で逮捕されたものが含まれます。
Q.そもそも大麻とは
大麻とは、大麻草(その種子及び成熟した茎を除く。)及びその製品(大麻草としての形状を有しないものを除く。)をいいます。
大麻の花や葉には、THC(テトラヒドロカンナビノール)という有害成分があり、幻覚作用や知能指数の低下、薬物依存等を引き起こします。
Q.アトムは大麻の逮捕に強い?
過去、アトム法律事務所で取り扱っている大麻事犯は、全体の約66%前後が逮捕事件です(アトム「大麻の逮捕率」の統計より)。逮捕事件の解決にも、力を入れていることをお分かりいただけると思います。
Q.アトムの解決事例(大麻)が知りたい
大麻・逮捕あり(不起訴処分)
個人使用目的で購入した大麻を、友人に頼まれて2グラムを2万円程度で売ったとされた。大麻取締法違反の事案。
弁護活動の成果
押収された携帯電話の早期還付を交渉し、実現。事件は捜査不十分により、不起訴処分となった。
逮捕の有無
あり
最終処分
不起訴
大麻・逮捕あり(執行猶予判決)
車内で大麻を所持していた大麻取締法違反の事案。秤なども押収されて逮捕された。
弁護活動の成果
保釈が認容され、早期釈放を実現。また、裁判の場で情状弁護を尽くし、執行猶予付きの判決となった。
逮捕の有無
あり
最終処分
懲役10か月,執行猶予3年
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・大麻の個別事件データベース
向精神薬(麻薬取締法違反)
向精神薬は医療目的で用いられる抑うつ薬や睡眠薬などの総称です。精神機能に影響を及ぼす薬物であるため、不正取引が同法で禁止されています。
麻薬取締法違反(向精神薬)の刑罰
| 態様 | 刑罰 |
|---|---|
| 譲渡・譲渡目的で所持 | ・拘禁刑(1ヶ月~3年) |
| 譲渡・譲渡目的で所持 (営利目的) | ・拘禁刑(1ヶ月~5年) または ・拘禁刑(1ヶ月~5年)+罰金100万円以下 |
| 輸出入、製剤、小分け | ・拘禁刑(1ヶ月~5年) |
| 輸出入、製剤、小分け (営利目的) | ・拘禁刑(1ヶ月~7年) または ・拘禁刑(1ヶ月~7年)+罰金200万円以下 |
(表の解説を読む)
向精神薬を、みだりに、譲渡、譲渡目的で所持した場合、刑罰は「3年以下の拘禁刑」です。
営利目的がある場合、刑罰は「5年以下の拘禁刑」となり、情状により「100万円以下の罰金」も科されることがあります。
向精神薬を、みだりに、輸出入、製造、製剤、小分けした場合、刑罰は「5年以下の拘禁刑」になります。
営利目的がある場合、刑罰は「7年以下の拘禁刑」となり、情状により「200万円以下の罰金」も科されることがあります。
覚醒剤(覚醒剤取締法違反)
覚醒剤は麻黄(まおう)から抽出された原料等を合成して製造されたもので、神経を興奮させる作用があります。
覚醒剤を所持、譲渡、譲受、使用、輸入、輸出、製造などした場合、覚醒剤取締法違反で逮捕される可能性があります。
覚醒剤取締法違反の刑罰
| 態様 | 刑罰 |
|---|---|
| 輸入・輸出・製造 | ・拘禁刑(1年~20年) |
| 輸入・輸出・製造 (営利目的) | ・拘禁刑(無期 or 3年~20年) または ・拘禁刑(無期 or 3年~20年)+罰金1000万円以下 |
| 所持・譲渡・譲受等 | ・拘禁刑(1ヶ月~10年) |
| 所持・譲渡・譲受等 (営利目的) | ・拘禁刑(1年~20年) または ・拘禁刑(1年~20年)+罰金500万円以下 |
(表の解説を読む)
覚醒剤の所持・譲渡・譲受・使用
覚醒剤の所持・譲渡・譲受・使用の法定刑は「10年以下の拘禁刑」です。
営利目的の所持・譲渡・譲受・使用になると、法定刑は「1年以上20年以下の有期拘禁刑」になり、情状によっては「500万円以下の罰金」が併科されます。
覚醒剤の所持・譲渡・譲受・使用の未遂は、処罰されます。
覚醒剤の輸入・輸出・製造
覚醒剤の輸入・輸出・製造の法定刑は「1年以上20年以下の有期拘禁刑」です。
営利目的で輸入・輸出・製造をすると、法定刑は「無期又は3年以上20年以下の拘禁刑」になり、情状によっては「1000万円以下の罰金」が併科されます。
覚醒剤の輸入・輸出・製造も、未遂は処罰対象です。
覚醒剤事件で逮捕された割合
検察統計では、2024年、覚醒剤事件で逮捕された割合は約70.6%でした。
2024年 覚醒剤事件の逮捕の割合
| 人数 | 割合 | |
|---|---|---|
| 逮捕されたもの | 7,160人 | 70.6% |
| 逮捕されないもの | 2,976人 | 29.4% |
| 総数 | 10,136人 |
* 2024年検察統計「罪名別 既済となった事件の被疑者の逮捕及び逮捕後の措置別人員」より抜粋の上、編集しました。
* 逮捕されたものには、警察から身柄送致されたもののほか、警察で身柄釈放されたもの、検察庁で逮捕されたものが含まれます。
Q.アトムは覚醒剤の逮捕に強い?
過去、アトム法律事務所で取り扱った覚醒剤事件について、逮捕事件の割合は約90%前後です(アトム「覚醒剤の逮捕率」の統計より)。覚醒剤で逮捕された方、逮捕が見込まれる方など多くの方から、ご依頼いただいております。
Q.アトムの解決事例(覚醒剤)が知りたい
覚醒剤・逮捕あり(不起訴処分)
自宅を家宅捜索された際、覚醒剤が発見されたが、依頼者はあくまで合法薬物を購入していたという認識で覚醒剤とは思っていなかったケース。覚醒剤取締法違反の事案。
弁護活動の成果
検察官に対し違法薬物の認識がなかった点を、同棲相手の証言や通話履歴なども提示して主張・立証を尽くしたところ、不起訴処分となった。
逮捕の有無
あり
最終処分
不起訴
覚醒剤・逮捕あり(執行猶予判決)
家宅捜索で覚醒剤の所持が発覚し、その後の尿検査などで使用も露見した。覚醒剤取締法違反の事案。
弁護活動の成果
起訴後に受任。即座に保釈請求を行ったところ認容され、拘置所からの早期解放を実現。また、薬物依存症の治療を開始したことなどを十分に伝え、執行猶予付き判決を得た。
逮捕の有無
あり
最終処分
懲役2年,執行猶予4年
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シンナー(毒物及び劇物取締法違反)
大麻や覚醒剤、ヘロインなどとは異なり、シンナーは適切に使用すれば違法とはならない薬物です。
しかし、乱用すると脳神経に異常が現れ依存症となるため、毒物及び劇物取締法によって、吸入・吸入目的での所持や譲渡が禁止されています。
Q.毒物及び劇物取締法違反(シンナー等)の刑罰
シンナーを吸入したり、吸入目的で所持したりすると、「1年以下の拘禁刑もしくは50万円以下の罰金」が科せられ、情状によっては両方が併科されます。
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危険ドラッグ(薬機法違反)
危険ドラッグの使用は薬機法(医薬品、医療機器等の品質、有効性及び安全性の確保等に関する法律)により逮捕・処罰される可能性があります。
危険ドラッグは麻薬や覚醒剤の化学構造を少し変えた物質で、摂取すると幻覚や興奮作用があらわれます。
Q.薬機法違反(危険ドラッグ等)の刑罰
「指定薬物」とされる危険ドラッグを製造・輸入・販売・授与・所持・購入・譲受・使用した場合、法定刑は「3年以下の拘禁刑」または「300万円以下の罰金」となり、場合によっては両方が併科されます。
業として、指定薬物を製造、輸入、販売、授与、所持(販売・授与の目的で貯蔵または陳列した場合)の場合は、法定刑が「5年以下の拘禁刑」または「500万円以下の罰金」となり、場合によっては併科されます。
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あへん(あへん法違反)
あへんとは、けしから採取した液汁を凝固させたものです。けしの栽培、あへんの採取、あへん・けしがらの輸出入や所持はあへん法違反の罪になり、逮捕される可能性があります。
Q.あへん法違反の刑罰
あへん・けしがらの吸食
あへん、けしがらの吸食は「7年以下の拘禁刑」になり、未遂も罰せられます。
栽培・採取・輸出・輸入
けしの栽培、あへんの採取、あへん・けしがらの輸出入はあへん法違反になり、法定刑は「1年以上10年以下の拘禁刑」です。
営利目的になると法定刑は「1年以上の有期拘禁刑」になり、情状によって「500万円以下の罰金」が併科されます。
なお、未遂も処罰対象です。
薬物犯罪の初犯と再犯・前科による刑罰の違い
薬物犯罪で逮捕された場合、初犯か再犯かによって、起訴・不起訴の判断や最終的な刑罰の重さに影響します。
初犯の場合
薬物犯罪は、初犯であっても起訴される可能性は高いです。被害者のいない犯罪であるため、示談相手が存在せず、示談成立による不起訴を目指すことができません。
しかし、営利目的ではなく、所持・使用にとどまるケースであれば、実刑判決を回避し、執行猶予付き判決となる可能性があります。
起訴後に実刑を避けるためには、再犯防止に向けた環境整備や弁護士による情状弁護が重要です。
再犯・前科がある場合
過去に薬物犯罪で有罪判決を受けた前科がある場合、刑罰は重くなる傾向があります。初犯が不起訴で終了した場合でも、再犯となれば起訴される可能性が高くなるでしょう。
また、執行猶予期間中に再び薬物犯罪を犯した場合は、執行猶予が取り消され、前の刑罰と合わせて実刑となる可能性が高いです。
また、前科があっても執行猶予付き判決を目指せる場合はありますが、初犯と比べて弁護活動の難易度は上がります。薬物依存の治療実績や家族の監督体制など、より具体的な再犯防止策を示すことが求められます。
なお、過去に拘禁刑を受けてその執行終了から5年以内に再び犯罪を犯した場合は、「累犯」となり、法律上さらに重い刑罰が科される可能性があります。
薬物犯罪で逮捕された後の流れ

警察による取り調べ
薬物犯罪で逮捕されると、まずは警察署に連行されるのが通常です。「なぜ薬物を所持していたのか」「いつ頃から使用しているのか」「どこで手に入れたのか」など、詳しい取り調べを受けることとなります。
また、家宅捜索によって、自宅の中を捜索されることにもなるでしょう。
逮捕された後は、48時間以内に検察に送致される流れとなります。
警察の取り調べについては『警察の事情聴取(取調べ)をどう乗り切る?不利にならない対応と今後の流れ』で詳しく解説していますので、あわせてお読みください。
勾留
薬物犯罪で逮捕されると、勾留されて身柄拘束が長期化するケースがほとんどです。
警察から検察に身柄が送致された後、24時間以内に勾留するか否かを検察官が判断します。「住居不定」「逃亡のおそれがある」「証拠隠滅のおそれがある」のいずれかを満たすと、勾留が決定されます。
薬物事件の場合、自宅にある薬物を破棄してしまったり、関係者や売人と口裏を合わせたりするなど、証拠隠滅のリスクがあると判断されやすいため、勾留されるケースが多いのです。
勾留されると、最長で10日間の身柄拘束となり、捜査のため釈放すべきでないと判断された場合には、勾留期間がさらに10日間延長されます。
起訴・不起訴の決定
勾留期間の満了までに、起訴されるかどうかが決まります。薬物犯罪の場合は、起訴されるケースがほとんどです。
通常、刑事事件では、同種前科や被害者との示談の有無などが、起訴・不起訴を決定する重要な要素となります。
被疑者に前科がなく、示談成立によって被害者が刑事処罰を望んでいないと意思表示している場合には、起訴する必要がないと判断されることがあります。
しかし、薬物犯罪は被害者のいない犯罪であるため、示談の相手がそもそも存在していません。
そのため、処罰の必要性が薄くなることはなく、再び薬物に手を出すことを防止する効果を期待して、初犯だとしても起訴されてしまう可能性が高いのです。
不起訴になる条件
もっとも、事情や弁護活動の内容によっては不起訴を目指せる場合があります。
薬物の所持や使用について証拠が不十分な場合は、「嫌疑不十分」として不起訴になる可能性があります。他人から預かったものであり薬物だと知らなかった、尿検査の結果に疑義があるといった事情がある場合です。
また、初めての薬物事件で所持量がごく少量にとどまる場合、起訴猶予が検討される可能性があります。起訴猶予とは、証拠はあるものの起訴しないという検察官の裁量的判断で、不起訴処分の1つです。
逮捕後すぐに医療機関への通院を開始する、家族による監督体制を整えるなど、再犯防止に向けた具体的な取り組みを検察官に示せると、起訴猶予の判断につながることもあります。弁護士を通じて早期に準備することが大切です。
薬物犯罪をしたことを認めない場合
薬物犯罪の証拠が不十分であることを検察官に理解してもらうための弁護活動が必要です。
薬物の所持であっても、他人から託され、致し方なく持っていたという事情もあるかもしれません。
警察・検察は「見知らぬ人から白い粉を渡されたんだから、何か違法な薬物が入っていそうだよね」などと誘導しながら取り調べをすることもあります。
早期に弁護士に相談して、不起訴を目指す弁護活動をしてもらう必要があるでしょう。
刑事裁判で処罰が決まる

薬物犯罪で逮捕・起訴されたら、刑事裁判によって量刑が判断されることになります。
刑事裁判は「冒頭手続き」「証拠調べ手続き」「弁論手続き」の各段階を経て、判決が下される流れとなります。
最終的な判決が実刑である場合には、指定された期間は刑務所で服役しなければなりませんが、薬物犯罪の場合、初犯であれば執行猶予付き判決となることも多いでしょう。
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家族が薬物で逮捕されたときの対応|逮捕直後の72時間が重要
逮捕から勾留(身柄拘束の延長)が請求されるまでには、最大72時間という非常に短い時間制限があります。
この「最初の72時間」の活動が、その後の釈放や処分に大きな影響を与えます。ご家族が早めに確認・対応したい内容は次の通りです。
どこの警察署に留置されているかを確認する
まずは本人を逮捕した警察署(または自宅を家宅捜索した警察署)に連絡し、所在を確認しましょう。
もし場所がわからない場合は、心当たりのある警察署に電話で「家族が逮捕されていないか」を確認することも可能です。
弁護士による「初回接見」を依頼する
薬物事件で逮捕されると、原則家族であっても面会することができません。
弁護士であれば、逮捕直後のタイミングであっても、本人と直接会って(接見)話をすることができます。
弁護士から本人に不利な供述調書を作らせないよう助言してもらう
逮捕直後の取り調べの流れの中で、意図せずに「事実と異なる自白」をしてしまうと、後から覆すのは難しいです。
弁護士から「黙秘権の行使」や「受け答えの注意点」のアドバイスを受けるまで、不用意な発言を控えるよう弁護士を通じて本人に伝える必要があります。
薬物犯罪で逮捕されるきっかけ
職務質問で発覚して逮捕
薬物犯罪で逮捕されるケースとして多いのが、職務質問による発覚です。
異常な行動をとっていたり、明らかに様子がおかしかったりすると、パトロール中の警察官に声をかけられることが多いです。自動車の中で声をかけられ、薬物が見つかるケースもあります。
発見された薬物が違法薬物だった場合、現行犯逮捕される流れとなります。
仲間や売人が逮捕されて発覚
違法薬物を譲渡してくれた仲間や売人が捕まった場合、彼らの供述により購入者の情報を警察が入手することがあります。
このケースでは、先に逮捕された薬物仲間や売人からの情報により、購入者がいつ頃からどの程度の量の薬物を使用しているのかなど、警察は予め証拠を固めていることが多いです。
そのため、逮捕されてから黙秘したり否認したりすると、刑事処分が重くなるおそれがあるので、警察対応は慎重に行わなければなりません。
隣人に通報されて逮捕
薬物を使用していると、特有の異臭が発生することが多いです。そのため、異変に気付いた隣人から通報されて逮捕に繋がる可能性があります。
ベランダや窓から漂う異臭により通報されるケースや、ゴミ捨て場に遺棄された注射器などの器具を見られてしまうケースなどがありえるでしょう。
薬物で逮捕された場合の社会的不利益
会社を解雇・退職になるリスク
薬物犯罪で逮捕・起訴された場合、最終的に懲戒解雇や自主退職に至るリスクがあります。
ただし、薬物犯罪で逮捕されただけでは、懲戒解雇されるケースは一般的ではありません。
薬物で逮捕された後、刑事裁判で有罪判決を受けると懲戒事由になる会社がほとんどです。
ただし、薬物犯罪は逮捕された後、起訴される可能性の高い犯罪です。
起訴されるとほぼ確実に有罪判決を受けることになるため、懲戒解雇事由を満たすのは時間の問題かもしれません。
また、薬物犯罪は逮捕された後、勾留される可能性が高い犯罪です。
そのため、長期間の欠勤により評価が落ちたり、悪い噂が流れたりして、居づらくなってしまうケースもあり、自主退職を選択しなければならない事態もありえます。
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学生が退学になるリスク
薬物で逮捕され、退学になるかどうかは、学校によります。
ただし、少なくとも刑事裁判で薬物犯罪の有罪が確定した場合は、懲戒退学や自主退学になる可能性は高いです。
違法薬物については、使用だけでなく、所持、購入、譲渡等することも法律上厳しく規制されており、違反した場合は、薬物事犯として重い刑罰を受けるばかりか、大学としても退学等厳しい処分を課すことになります。
2024年10月24日現在 明治大学「違法薬物に関する注意事項」より
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国家資格に影響するリスク
特定の国家資格や専門職に従事している方にとって、薬物事件の影響は将来のキャリアに大きな影響を及ぼすことがあります。
医師、看護師、薬剤師などの医療従事者や、教員、宅地建物取引士いった職業には、資格ごとに法律で定められた欠格事由が存在します。
もし起訴されて裁判で有罪判決を受けると、資格によっては、免許の取り消しや業務停止といった行政処分の対象となることがあります。
これは執行猶予がついた場合でも例外ではありません。長年努力して築き上げた専門的なキャリアが、一度の過ちで継続が難しくなるおそれがあるため、資格維持に向けた慎重な法的対応が不可欠です。
実名報道で社会的信用を失うリスク
薬物事件は社会的な関心が高いため、たとえ一般の方であっても実名で報じられるリスクがあります。
一度インターネット上のニュースサイトやSNSで名前が拡散されてしまうと、その情報はデジタルタトゥーとして長期間残り続ける可能性があります。
更生したとしても、転職や結婚といったライフイベントの際に、相手方が名前を検索するだけで過去の逮捕・報道歴を知られてしまうことになります。
このような将来のリスクを最小限に抑えるためには、逮捕直後から弁護士が介入し、報道対応を含め、社会的影響を抑えるための助言や対応を行うといった弁護活動が重要です。
薬物で逮捕された後に保釈を目指す方法
薬物犯罪の保釈とは?
薬物で逮捕された本人の保釈を目指すには、家族の協力が必須です。薬物で逮捕された後は、多くの場合、起訴されるまで勾留され続けます。
しかし、起訴後は釈放の可能性がでてきます。起訴後の釈放のことを「保釈」(ほしゃく)といいます。弁護士のサポートのもと、ご家族は、ご本人の保釈が認められるための環境を作る必要があります。
家族が具体的にどのような点で協力できるか、まとめておきましょう。
(1)監督
起訴後の保釈については、家族がしっかり監督できる環境にあるかが大切です。
保釈中の生活は家族が責任をもって監督し、被告人の裁判への出廷が確実にできる環境にしておく必要があります。
また、保釈されたら家で生活できるようになるので、薬物の治療を開始できるようになります。ご本人の治療がうまくいくよう精神的・経済的なサポートも必要になります。
(2)保釈金の準備
裁判官が保釈を許可してくれても、保釈金を納付できなければ、釈放してもらえません。
薬物事件の場合、個別の事件にもよりますが、およそ150万円~200万円程度の保釈金が必要です。
なお、裁判には必ず出廷することなど、保釈中に守るべき条件を破らなければ、保釈金は刑事裁判が終了したタイミングで返還されます。
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薬物で逮捕された後に執行猶予を目指す方法
次に、執行猶予付き判決を獲得するためのポイントです。
薬物犯罪の裁判で、裁判官から執行猶予付き判決をもらうには、裁判を迎えるまでの事前準備が非常に重要です。
薬物事件に詳しい弁護士であれば、執行猶予が付くようしっかり更生計画を練り、弁護士から裁判官へ訴えかけていきます。
(1)社会の中で更生できる理由を示す
薬物犯罪で執行猶予付き判決を獲得したい場合、薬物犯罪から更生できる理由について、具体的な根拠をもって示すことが非常に重要です。
更生できる理由の例
- 雇用先がある
- 雇用先の責任者の上申書を提出
たとえば、社会復帰をして更生を目指すには、仕事の受け入れ先が決まっていることも大きくプラスになります。
職場が事情を知ったうえで本人を受け入れてくれるということであれば、それを上申書の形にして証拠化します。
(2)薬物依存を断ち切るための環境調整
薬物犯罪で執行猶予判決を目指す場合、薬物依存を断ち切れる根拠があるかどうかも大切なポイントになります。
薬物は一度使用するとその依存から脱するのは簡単ではありません。脳への障害も生じ、正常な判断能力が失われていきますので、更生意欲があったとしても自分で考え行動することができなくなっていきます。
薬物事件の経験ある弁護士なら、この点をよく理解しているので、ご本人やご家族のサポートのため最善策を提示することが可能です。
薬物依存を断ち切る方法の例
- 医療機関での治療
- 家族の監督
具体的には、まず薬物依存を断ち切るため、医療機関での通院治療をすることなどを提案します。
医療機関の受診計画(治療計画)は、薬物犯罪の再発防止に努めていることを説得的に説明できる資料になります。
どの程度の頻度で通院するかなど、医師と具体的な相談を進める際は、ご家族の付き添いがあるとご本人は安心できます。
家族が付き添って、どの程度の頻度で通院するか、医師と相談しながら証拠を整えることも大切です。
また、薬物の入手経路を絶つというのも非常に重要です。携帯電話を変えるなどして、関係者と以後、連絡をとれないような対策を講じる必要があるでしょう。
ご家族もご本人と同居するなどして、再び薬物犯罪に手を染めることがないよう監督する必要があります。
薬物で逮捕された場合のまとめ
最後にひとこと
薬物(大麻・覚醒剤etc.)で逮捕された場合、弁護士から早期に助言をもらい、取り調べに対応することが非常に重要です。
逮捕されたご家族の方は、まずは留置場への弁護士派遣(弁護士の接見)を検討してください。
逮捕されれば、最長20日の勾留満期に起訴が決定し、起訴から約1ヶ月後には刑事裁判にかけられている可能性があります。結論が決まるまでに、残された時間はごくわずかです。
薬物事件では執行猶予判決になることもありますが、更生できる環境や意欲があることが大前提です。
薬物は再犯が多いので、更生のためには、ご家族の協力や適切な医療機関での治療が不可欠です。
薬物事件に詳しい弁護士なら、効果的な再犯防止策が分かります。早めに相談すれば、それだけ充実した弁護活動が受けられます。
ご依頼者様からのお手紙・口コミ評判
刑事事件に強い弁護士選びには、実際に依頼したユーザーの口コミを見ることも効果的です。アトム法律事務所が過去に解決した、刑事事件のご依頼者様からいただいた感謝のお手紙の一部を紹介しますので、ぜひ弁護士選びの参考にしてください。
とにかく相談させていただいて、よかったの一言です。

初めての依頼でした。とにかく相談させていただいて、よかったの一言です。先生のアドバイス等、まちがえありませんでした。本当にありがとうございました。
ご依頼者様からのお手紙のほかにも、口コミ評判も公開しています。ご参考になさってみてください。
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